ソフトウェアエンジニアのための「技術」ではなく、キャリアや学習方法、生産性、メンタルに関してなど、ソフトウェアエンジニアがより良い人生を歩めるようになるための本「SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル」についていくつか紹介します。
今回は前回のその1 キャリア編の続きのマインド編になります。
プロ意識をもつ
簡単に言えば、プロとは、自分の責任を取り、キャリアを真剣に考え、自分が正しいとわかっていることをするために(多くの場合は自己責任において)、難しい選択をあえてすることを厭わない人のことである。
この本では、ひとつの例として品質を下げ、開発時間を短縮するように求められた場合でもプロとして自分の品質基準を守るように努力すべきだ、たとえ自分のポストを賭けるような事態になっても自分の原則の元で行動すべきだという。
いい習慣を身につける
では、プロになるためにはどうすればいいのか。
プロになるためには、プロの習慣を身につける必要がある。
プロの習慣とは、例えば時間管理の習慣。
毎日仕事をする前に今日は何の仕事をするのか把握し、どれくらい時間がかかるのかの目安を持つことが重要。
正しいことをする
エンジニアであれば、技術的な難問であれば客観的に対処できる。
しかし、倫理的な問題の場合は技術的な問題よりもはるかに難しい。
ボブ・マーティンというソフトウェア開発者で著作家が、 ソフトウェア開発者と医者を比較した例をあげている。
患者は腕が痛むので切り落としてくれと医者に言っており、もちろん医者は「ノー」と答えている。
しかし、ソフトウェア開発者は、同じような状況に直面したときに。上層部の怒りを恐れて「イエス」と答え、コードの切断を行ってしまうことが多い。
実際問題、この例のように明らかに「ノー」が正しいという場面に直面することも少ないかもしれないが、「ノー」と言うべき場面で「ノー」と言えるかどうかはプロとして重要な要素なのかもしれない。
ただ、筆者は以下のことも言っている。
それは苦しいことかもしれないが、キャリアを通じて自分が正しいと思っていることを一貫して選んだ方が、そうでないよりも報われる可能性が高い。
そして、夜よく眠れる。
うまくやり遂げるまではできたふりをしよう
ソフトウェア開発者としてキャリアを重ねていくと、自分は適任ではないような状況に何度もぶつかるだろう。
準備ができていない難問や障害にぶつかることはよくある。
しかし、そのようなときに何をするかは、あなたが成功するかどうかを分ける最大の要因になる。
「うまくやり遂げるまではできたふりをする」と同じような言葉は聞いたことがある人もいるかもしれない。
これは、嘘をついて知識や能力があるふりをしろ、と言う訳ではない。
仕事に取り掛かる前から、まるでその仕事や技をやり遂げたかのように行動せよと言っているのである。
ここで重要なのは「行動する」という点で、難しくて行動できないという状態を脱して、自信を持って取り組むことで本当にできるようになるのである。
テクノロジーに対して頑なな態度を取らない
多くのエンジニアは自分の気にっているOS、言語、ツールなどがあり、異なるものが好きなエンジニアに対して反論したり、自分の考えを押し付けたりすることがある。
しかし、このようなテクノロジーに対する頑なな態度を避ければ、もっと深いところまで知ることができるようになる。
テクノロジーに対して宗教的になっている
自分が最良だと思うテクノロジーをひいきにすること自体は自然なことである。
しかし、実際は最良かどうかの判断を行うときに世の中にあるテクノロジーを十分に調べて比較して選んでいる訳ではない。
自分が知っているものの中から選び、これが一番良いものだと思い込む。
選択肢を制限しない
すべてのテクノロジーが偉大だというわけではないが、広く普及しているテクノロジーの大半は、少なくとも「いい」。
少なくともいいと言えるものでなければ、成功して広く知られたり使われたりするようになるのは難しい。
もちろん、時間とともに状況は変わっていく。
自分が使っているテクノロジーが常にどんな場面でも最良である、と思わずにもう少し寛容的な立場をとるのはどうだろうか。
寛容な心でいれば、新しいテクノロジーともっと接することができ、より多くのチャンスも手に入れることができるようになる。
参考
TED メグ・ジェイ 30歳は昔の20歳ではありません
人生100年時代とよく言われ、30代もかなり若いと言われています。
だからと言って20代の時間を無駄にしても30代で全て取り戻せる時代になった、というわけではありません。
自分はまだ若い、と考えていると物事を先送りにしがちですが、あるとき自分はもう若くないと自覚した瞬間から新しくことへのチャレンジを辞めてしまう傾向にある気がします。
「若いとき」と「若くないとき」の中間のベストな時期というのを実感するのは、そのベストな時期が過ぎた後に気がつきます。
何事も先送りにせず、悲観的にもなり過ぎずに自分の人生を一歩進めることの大切さを改めて思い出されます。
不格好経営 南場智子
DeNAが起業から現在までどのような過程があったのかが面白く書かれた本です。
具体的な起業の方法などではなく、起業するとどのような体験をしどのように感じたのか、というところにフォーカスが当たっているので、南場さんのマインドを感じることができます。
社長失格 板倉 雄一郎
「不格好経営」を成功談だとすると、こちらは失敗談。
不格好経営の中でこの本が登場し気になって購入しましたが、ITベンチャーの浮き沈みを感じることのできる本です。
やはり成功談よりも失敗談の方が学べることが多く、なぜ失敗したのかを考えたときに社長の考え方による部分が大きいと感じます。
起業初めのときに必要なマインド、会社を大きくしていくときに必要なマインドなど、その時その時に求められるものが少し変わるのでそれに合わせて変えていく部分も必要なのかもしれないと考えさせられました。
同じ作者の新しい本「CAREER SKILLS ソフトウェア開発者の完全キャリアガイド」
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